あまごのぐーちょきぱー

ぐーちょきぱーでー(×2) なにつくろー(×2)

味気ないあるよ

オロナインと正露丸に共通する、万能では無いけれど万能、といった万能感が好きです。

あまごです。

 

閑話休題

 

お気に入りのランチを出してくれる店を見つけた。べらぼうに味が良いとか、通っていることを自慢すれば羨望の眼差しが貰えるというわけでもない。いたって普通と言うべき店である。ではなぜ私はその店を気に入ったかと言うと、ランチドリンクに牛乳があるからだ。コーヒー、紅茶、牛乳、といった具合である。ミルクではなく牛乳という表記がまた良いではないか。また、ランチの場合はドリンクとフルーツを選べるのだ。比較的女性のお客が多いのはきっとそういう気遣い、気配りによるところなのだと思う。

 

その日も私はランチの定食に牛乳、という個人的鉄板の組み合わせを注文した。スマホをぼんやり眺めながら料理が出てくるのを待っていた。ふっと周りを見渡せば、やはり女性の比率の方が多いようであるが、男性もちらほらと居た。手帳に何かを書き込んでいたり雑誌を読んでいたり、外をぼんやり眺めたり・・・それぞれがそれぞれの時間を過ごしているようだった。

 

程なくして、料理が運ばれてきた。豚の生姜焼き、サラダ、ライス、牛乳だ。スマホを置き、頂くことにする。個人的鉄板ランチに舌鼓を打っていると、左前方にいる客が目に入った。客が、というよりテーブルの上のランチに、と言った方が正しいだろうか。その客の前には、ライスとリンゴがあった。ドリンクではなくフルーツを選択したのだろう。確か今日のフルーツはリンゴであったはずである。おそらく何かの定食を注文し、メインとサイドを食べきり、残ったのがライスとリンゴ、といった状況であろう。

 

しかしまぁ別段、何か可笑しな素振りを見せていたわけでもない。その客は肘をついて雑誌を読んでいるらしかった。さきほど個人的見解で『残った』と言ったけれど『残した』が正解なのかもしれない。その客からは満腹で幸せな食後と言った雰囲気が漂っていた。私はモグモグとランチを続けた。左前方の客は黙々と雑誌を読みふけっていた。

 

私のランチが終盤に差し掛かろうという所で、左前方の客がゆくりなく雑誌を閉じたかと思うと、もの凄い勢いでフォークでライスをすくい口へと運んだ。あまりの急な動きに私は多少狼狽しながらも、時間的締め切りに迫られているのか?と思案した。思いのほか多めのライスを頬張ったのか、咀嚼が止まらない。しかしその客は、次の一手を講ずるのだ。フォークでリンゴを刺したかと思うとそれを躊躇なく、口へと運んだ。そして第三の矢。再度フォークでライスをすくい口へ。

 

頬袋があるとでも言うのか・・・。私はぼんやりとそんなことを思った。リスなどが持っている、顔の両側にあるポケットのようなものであり、そこに食糧などを貯めることが出来るのだという。まさにいま、ライスとリンゴを両頬に貯め込んでいる形となる左前方の客である。新たなる人類の誕生を目の当たりにしているのでは・・・。

 

などと妄想を飛ばしている最中に、件の客は手早く荷物をまとめて会計へと向かった。しかしライスとリンゴを同時に口の中に入れるとは・・・。いったいどんな味がするというのだ。まぁ絶対に試すことは無いだろうなと確信した私は、牛乳でライスを喉の奥へと流し込んだ。

 

リンゴライスは見た事がありますがやったことはないです。牛乳ライスは私自身やったことあります。全然平気です。まぁでもきっとどっちもどっちなのだろうなという思いを綴った物語。